モンゴル遊牧民の食生活
モンゴル遊牧民の食生活は、厳しい自然環境
に適応し、家畜と共に移動しながら生活する
中で培われてきました。
その歴史は古く、伝統的な食文化は現代にも
受け継がれています。
モンゴル遊牧民の食生活の歴史は、彼らの
生活環境や経済活動と密接に関わっています。
遊牧民としての暮らしの中で、自然環境に
適応しながら独自の食文化を発展させてき
ました。
彼らの食生活は、主に「赤い食べ物」と「白い
食べ物」に分けられます。
「赤い食べ物」は肉類、「白い食べ物」は
乳製品を指します。
●赤い食べ物
遊牧民は、羊、牛、馬、ラクダなどの肉を
主に食べます。
肉は煮る、蒸すなどの方法で調理され、
香辛料はあまり使われません。
冬には肉を干して保存することも一般的です。
●白い食べ物
乳製品は、遊牧民の食生活において重要な
役割を果たしています。
春から初夏にかけては、家畜の出産ラッシュ
により乳製品が豊富に作られます。
ヨーグルト、チーズ、バター、馬乳酒
(アルコール分の低い乳酸菌飲料)などが
代表的な乳製品です。
●季節ごとの食生活
モンゴルの遊牧民は、季節によって食生活が
変わります。
夏は乳製品が中心の「白い食事」、冬は肉が
中心の「赤い食事」となります。
家畜の肉や乳製品には旬があり、季節ごと
に異なる食材を楽しむことができます。
モンゴルの遊牧民の食生活は、自然環境や
家畜との共生を反映したものであり、長い
歴史の中で培われた知恵と工夫が詰まって
います。
●古代から中世までの食生活
モンゴル高原に住む遊牧民は、古代より家畜
とともに生活しており、主に羊、山羊、馬、
牛、ラクダなどを飼育していました。
これらの家畜から得られる乳製品と肉類が
食生活の中心でした。
(1) 乳製品の発達
乳製品(白い食べ物):「ホワイトフード」
とも呼ばれ、チーズ、バター、ヨーグルト、
発酵乳(アイラグ/馬乳酒)などが主流でした。
アイラグ(発酵馬乳):モンゴルの伝統的な
飲み物で、乳を発酵させたアルコール飲料。
アーロール(乾燥チーズ):長期保存が可能で、
遊牧生活に適していた。
(2) 肉食文化
肉類(赤い食べ物):冬場は主に肉を食べる
習慣があり、羊肉が主流。牛肉や馬肉、ヤク
の肉も食べられた。
ボーズ(蒸し餃子):モンゴル帝国の時代
には広がり、現在も人気。
スーテーツァイ(ミルクティー):塩入りの
ミルクティーで、バターや炒った小麦粉を
入れることもあった。
●モンゴル帝国時代(13~14世紀)
チンギス・ハンが築いたモンゴル帝国
(13世紀)は、広大なユーラシア大陸
を支配し、貿易と文化交流が活発に
なりました。
この時代、遊牧民の食文化にも影響が
見られます。
肉の保存技術の向上:干し肉やスープを
固めた携帯食(ブリク)を作る習慣が発展。
他地域の影響:中国、中央アジア、
ペルシャ、ロシアの料理が取り入れられた。
交易の発展:小麦粉、米、茶などが入手
しやすくなり、食生活に変化をもたらした。
●近代以降の変化
19世紀以降、定住化が進み、都市部では
小麦を使った料理や野菜の摂取も増え
ました。
ソビエト連邦の影響を受け、パンやシチュー
などのロシア料理も広まりました。
小麦製品の普及:ホショール(揚げパン)、
ボーズ(蒸し餃子)などが一般的に。
野菜の導入:従来は遊牧民の食文化には
野菜が少なかったが、近代になると
キャベツ、ジャガイモ、タマネギなどが
食卓に登場。
ソ連時代の影響(20世紀):学校給食や
都市部の食文化に変化をもたらし、
スープやパンの消費が増加。
●現代のモンゴル遊牧民の食生活
現在でも伝統的な乳製品と肉食を中心
とした食文化が根強く残っていますが、
都市部ではより多様な食品が手に入る
ようになりました。
グローバル化により、西洋料理や中華
料理の影響も増えつつあります。
(1) 伝統的な食文化
夏は乳製品を中心に食べる
冬は肉類を多く摂取する
羊肉を使った料理が依然として主流
(2) 現代の変化
インスタント食品やファストフードの
普及
野菜や果物の摂取増加(輸入品が増え
たため)
健康志向の高まりによる食生活の見直し
●まとめ
モンゴル遊牧民の食生活は、遊牧文化と
環境に適応した形で発展し、乳製品と
肉を中心に構成されてきました。
歴史の中でモンゴル帝国時代の交易や、
近代以降のロシア・中国の影響を受け
ながらも、伝統的な食文化は今も受け
継がれています。
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