アリアン5型ロケット爆発

1996年6月4日、欧州宇宙機関(ESA)の新型ロケット
「アリアン5型」の初号機(フライト501)が、打ち上げ
からわずか約37秒後に爆発しました。
この事故は、ソフトウェアのバグが直接的な原因でした。
●事故の背景と原因
アリアン5型ロケットは、開発に10年以上、費用に約80億
ドルが投じられた大型ロケットでした。
その初飛行には、4機の科学衛星「クラスター」が搭載
されていました。
事故の原因は、慣性航法装置(INS)のソフトウェアに
ありました。
このソフトウェアは、以前のアリアン4型ロケットから
流用されたものでしたが、アリアン5型の飛行特性に
合わせて修正されていませんでした。
データ型のオーバーフロー: ロケットの水平方向の速度を
計算する際に、64ビット浮動小数点数で表現された値を、
16ビット符号付き整数に変換する処理が含まれていました。
計算ミスの発生: アリアン5型はアリアン4型よりも速い
速度で加速したため、水平速度の値が16ビット整数で
表現できる最大値(32,767)を大きく超えてしまいました。
これによりオーバーフローが発生し、計算結果が不正な
値となりました。
制御システムの異常: この不正な値がロケットの姿勢制御
システムに渡されたため、ロケットは進路を大きく逸脱し、
過大な空力負荷に耐えきれなくなり、最終的に自動自爆装置
が作動して爆発しました。
事故の教訓
この事故は、ソフトウェアの再利用やテストの重要性を
改めて浮き彫りにしました。
使用する環境や条件が変わる場合、既存のコードが適切に
機能するかどうかを徹底的に検証する必要があるという
重要な教訓を残しました。
この出来事は、歴史上最も高価なコンピュータバグの
1つとして知られています。
●事故の概要
打ち上げ場所: フランス領ギアナ、クールー宇宙センター
ミッション名: アリアン5 初飛行(Flight 501)
搭載物: 科学衛星クラスタ (Cluster) 4機(太陽風と地球
磁気圏を観測予定)
結果: ロケットが姿勢を崩し、自爆装置により爆破処理。
衛星は全て失われました。
●事故原因
原因は慣性基準装置 (Inertial Reference System, SRI)
のソフトウェアにありました。
アリアン4用のコードが流用されていたが、アリアン5の
横方向速度が予想以上に大きく、その値を変換する際に
64ビット浮動小数点から16ビット整数への変換エラー
(オーバーフロー)が発生。
このエラーでSRIが停止し、誤った姿勢データがロケット
に送られた。
結果としてロケットが異常な姿勢制御を行い、破壊命令
が出されました。
●被害
ESA(欧州宇宙機関)は約37億フラン(当時の約7億ドル)
の損失を被りました。
科学的にも「クラスタ計画」の観測機会を失い、後に再建
(Cluster II)されて2000年に打ち上げ直されました。
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