M10駆逐戦車
M10駆逐戦車は、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍
が開発・運用した駆逐戦車です。
強力なドイツ戦車に対抗するため、アメリカ軍初の
本格的な駆逐戦車として登場しました。
M10駆逐戦車(M10 Wolverine)は、対戦車自走砲
です。
戦車というより「戦車駆逐車」として設計され、
敵戦車を待ち伏せして撃破することを目的として
いました。
●開発経緯
M10の開発は1941年10月に始まり、1942年5月には
生産が開始されました。
M4シャーマン中戦車の車体を流用しており、M4の
高い機動性や信頼性を引き継いでいます。
アメリカ軍の駆逐戦車部隊は、防御力よりも機動力
を優先する思想で運用されたため、M10も装甲は
薄めですが、優れた機動力を持ちました。
●特徴
主砲: 50口径3インチ(約76.2mm)戦車砲M7を搭載
しています。
これは第一次世界大戦期の対空砲を転用したもので、
初期のドイツ戦車(III号戦車やIV号戦車など)に
対しては十分な貫通力を持っていました。
砲塔: 特徴的なオープントップの砲塔を持って
います。
これは、敵の視認性を高め、上空からの脅威にも
対応するためのものでしたが、同時に乗員が外部
からの攻撃(手榴弾など)に脆弱であるという
欠点もありました。
装甲: M4シャーマンに比べて装甲は薄く、最大で
57.15mm程度でした。
これは機動力を優先した結果ですが、防御力の
不足は常に課題となりました。
派生型:
M10A1: エンジンをフォードGAAガソリンエンジン
に変更したタイプです。
M10 IIC アキリーズ: イギリス軍がM10に強力な
17ポンド対戦車砲を搭載した改良型で、ドイツ軍
の重戦車に対抗する切り札として活躍しました。
●戦歴
M10は1943年3月のチュニジア戦線で初めて実戦
投入され、イタリア戦線や北西ヨーロッパ戦線、
太平洋戦域でも戦車駆逐大隊の主力装備として
奮戦しました。
初期のドイツ戦車相手には有効でしたが、
パンターやティーガーといった重装甲の
ドイツ戦車が登場すると、その火力不足が
目立つようになり、より強力な90mm砲を
搭載したM36駆逐戦車の開発へと繋がって
いきます。
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