歩兵戦車 ブラックプリンス
ブラックプリンス歩兵戦車(A43)は、第二次世界大戦末期に
イギリスが開発した試作重戦車で、チャーチル歩兵戦車を
大型化し強力な17ポンド砲を搭載した「スーパー・チャーチル」
とも呼ばれる車両です。
歩兵戦車系統の最終形といえる車両です。正式名称は
A43 Black Prince。
●概要
種類:歩兵戦車(Infantry Tank)
開発国:イギリス
開発時期:1943–1945年
生産数:試作車 6輌のみ(量産なし)
特徴:チャーチル戦車を拡大し、より強力な火砲を搭載するため
に開発された。
●開発背景
従来の歩兵戦車「チャーチル」は装甲は厚かったものの、
火力が不足していました。
そこでチャーチルの強み(重装甲・走破性)を維持しつつ、
17ポンド砲(高い対戦車能力を持つ)を搭載するために、
新たな大型車体を開発したのがブラックプリンスです。
●主な特徴
🔶 1. 大型化したチャーチル
車体はチャーチルよりさらに幅広・延長
17ポンド砲搭載のため砲塔も大型化
🔶 2. 重装甲
歩兵戦車らしく非常に厚い装甲
正面装甲は152mm級で、当時の重戦車クラス
🔶 3. 17ポンド砲を搭載
同時期の「ファイアフライ」(シャーマン改造型)と
同じ強力な対戦車砲
タイガーIやパンターにも対抗可能
●性能(主要諸元)
項目 数値
重量 約 50トン
全長 約 7.7m
全幅 約 3.5m
主砲 17ポンド砲(76.2mm)
装甲 最大 約152mm
エンジン ベッドフォード 350hp
最高速度 約 17~18 km/h と非常に遅い
乗員 5名
●なぜ量産されなかったのか?
重すぎて遅い
最高速度「18km/h前後」は当時としても極めて低速。
歩兵戦車の「ゆっくり歩兵に合わせる」思想自体が
時代遅れになりつつあった。
巡航戦車+統合設計による新戦車
(センチュリオン) の登場
センチュリオンは17ポンド砲を搭載しつつ、装甲・速度
を兼ね備えていたため、ブラックプリンスは完全に不要に。
終戦が近く、急いで量産する必要がなかった
結果、試作6輌で計画終了。
●評価と位置づけ
ブラックプリンスは、第二次大戦中のイギリス歩兵戦車
コンセプトの極致であり、「チャーチルの最終進化形」
といえる車両です。
しかし戦術の進化とセンチュリオン戦車の成功により、
時代に取り残された設計となってしまいました。
戦争ゲーム(WoT、War Thunderなど)でも人気のある
重装甲・大口径砲の“鈍重戦車”として知られています。
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