M18 駆逐戦車
M18駆逐戦車は、第二次世界大戦中のアメリカ陸軍が
使用した、非常に速い速度が特徴的な駆逐戦車です。
正式名称は「76 mm Gun Motor Carriage M18」で、
通称「ヘルキャット」(Hellcat)として知られてい
ます。
●主な特徴
主砲:76.2mm M1戦車砲(45発搭載)
副武装:12.7mm重機関銃M2(800発)
最高速度:80km/h(当時の装軌式車両では世界最速)
重量:約17.7トン
装甲:最大25.4mmと非常に薄く、機動性重視
乗員:5名(車長、操縦手、操縦助手、砲手、装填手)
●運用と戦績
ヨーロッパ戦線:1944年のアンツィオ上陸作戦から実戦
投入。
ヒット・エンド・ラン戦法でティーガーやパンターの
側面を狙い撃ちする戦術が有効でした。
バルジの戦い:第705駆逐戦車大隊が活躍し、ティーガー
を含む多数のドイツ戦車を撃破。
太平洋戦線:日本軍戦車に対しては過剰な火力を持つ
一方、防御力が低く、主に火力支援用として運用され
ました。
●設計と特徴
速度: M18は、第二次世界大戦で実戦投入された装軌式
装甲戦闘車両の中で最も速い部類に入ります。
路上最高速度は時速89kmにも達しました。
この高速性を実現するために、装甲は最小限に抑えられ
ています。
装甲: 装甲は非常に薄く、最も厚い砲塔前面でも約25mm
程度しかありませんでした。
これは、敵の砲撃に耐えるのではなく、高速で移動して
敵の側面や背面を攻撃し、迅速に離脱するという駆逐
戦車の教義に基づいています。
主砲: 76mm M1砲を搭載しており、当時のドイツ戦車
(パンターやティーガーIなど)を正面から撃破する
ことは困難でしたが、側面や背面からの攻撃には効果
を発揮しました。
砲塔: オープン・トップの砲塔を採用していました。
これにより、乗員は敵の歩兵や砲弾の破片、狙撃兵に
対して無防備になるという欠点がありましたが、良好
な視界を確保することができました。
●戦歴
M18は1944年春にイタリア戦線で初めて実戦投入され
ました。
その後、ノルマンディー上陸作戦後のヨーロッパ戦線、
特にジョージ・パットン将軍率いる第3軍の進撃を支援
する任務で活躍しました。
その高速性を活かした戦術でドイツ軍戦車を翻弄し、
高い戦果を挙げました。
アルデンヌ攻勢(バルジの戦い)でも、その機動性が
重要な役割を果たしました。
●生産
M18は、ゼネラルモーターズのビュイック部門で1943年
7月から1944年10月にかけて生産され、総生産数は2,507両
でした。
●戦後の運用
第二次世界大戦後、M18の砲塔を撤去し、兵員輸送車や
弾薬運搬車として改修されたM39装甲多目的車も開発され、
朝鮮戦争で運用されました。
また、退役後には西ドイツをはじめとするいくつかの
国に供与されました。
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