ANA1603便 胴体着陸
2007年3月13日、全日本空輸(ANA)1603便は、
大阪国際空港を午前8時過ぎに出発し高知空港
へ向かっていました。
機体は、ターボプロップ機搭載のボンバルディア
DHC8-Q400です。
1603便が高知空港への着陸態勢に移ろうとした
とき、操作時に前輪が出なくなりました。
この機体は、通常の油圧による操作のほか、手動
操作でも前輪が出せるように設計されているため、
1603便は前輪を手動で出そうとしました。
しかし、この操作もできない状態あり、ここで
タッチ・アンド・ゴーの繰り返しで前輪周りに
衝撃を加えて、前輪を無理やりに出そうと試みま
した。
しかし、これも失敗したため、機長は最後の手段
として胴体着陸をするように決断しました。
通常なら胴体着陸する前に燃料をカラに近い状態に
すべきであるが、この機体は小型機のため、非常時
に燃料を投棄するような設備が装着されていません
でした。
このため、2時間あまりも空港上空を旋回し燃料を
消費して無理やりにカラにしようと試みました。
そして、高知空港への緊急着陸態勢に入りました。
このときには、すでに高知空港の滑走路は閉鎖され
ていて、滑走路の横には消防車などの緊急車両が
待機していました。
この緊急着陸の様子は多くのテレビ局が生中継して
全国放送されていました。
ついに、1603便は午前10時54分に胴体着陸を決行して
後輪のみを滑走路に接地させて機首を水平やや上方に
保った状態で着陸しました。
機首下部が接地するときに火花を生じたものの、
火災が発生するようなことはなく、着陸のときの衝撃
も少なかったため、乗員乗客60名にけが人はありま
せんでした。
この事故の後に、高知新聞は適切な緊急着陸操作を
行った機長を称賛しています。
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